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3/28/2026

博労する(ばぐろする)

奥州東北語(標準東北語)および東北各地の
言語の公用語化の一環として、東北各地の言
語資料を基に、「博労する」の用法・語源に
ついて整理しました。

編集者:千葉光

目次:

01. 意味
02. 活用
03. 語尾のウ音は脱落
04. 名詞としての現代的な使い方
05. 語源
06. 各地の言語資料より
 【青森】津軽 南部
 【秋田】由利
 【岩手:旧盛岡藩】北部
 【山形】全般
 【宮城】全般
 【福島】全般
07. 編集後記

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意味

博労する

〔読み方〕ばぐろする・ばくろする
〔意味〕(物と物とを)交換する
〔品詞〕名詞+サ変動詞

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活用

「博労(ばぐろ)する」のサ変動詞としての
活用について整理しました。

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【活用】博労する(ばぐろする)
参考:【え・あ中間音】

未然形および連用形に接続する希望助動詞は
「え・あ中間音」のため、変体仮名で表記し
ています。

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語尾のウ音は脱落

東北の言語では、ウ音便形の「ウ」が脱落す
る傾向にあります。

したがって、「博労(バクロウ)」は「バグ
ロ」となりますが、「バグロー」と併用され
ることもあります。

他の語の事例を挙げます。

例①:
○ども→ども
○ありがと→ありか゜ど
○おはよ→おはよ

例②:音読み
【方】おら方(おらほう)→おらほ・おらほー
【道】街道(かいどう)→けァーど

全体的には「ウ音」が脱落する傾向が強いで
すが、長音と併用されることもあります。

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名詞として現代社会に適応させた使い方

名詞「博労(ばぐろ)」の、現代社会に適応
させた使い方について整理しました。

【経済】
・株式博労—株式交換
・金利博労—金利交換
・通貨博労協定—通貨スワップ協定

【日常・ビジネス】
・名詞博労—名詞交換
・意見博労—意見交換
・土地博労屋—不動産屋
・(商品の)返品博労—返品交換

「土地博労屋」については、青森の資料「南
部のことば」でとりあげていた「田地博労(
現在の不動産屋)」に着想を得ました。

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語源

東北各地の言語資料では、「博る」の語源を
、「博労」の動詞化とする説が一般的です。

次の資料では、名詞「博労」の語源について
とりあげています。

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語源探求 秋田方言辞典(中山健, 2001年)
ばくろう〔名〕〔他サ変〕
〔意味〕交換。交易。とりかえっこ。
〔バグロ〕平鹿郡
〔例〕「コノ 林檎ド ソノ 柿ド バグロシネァガ」

〔語源考察〕
ばくろう〔馬喰・博労〕〔名〕
(「はくらく(伯楽)」の転)
馬や牛の交易売買をする人、またその職業。
これから転じて、物と物とを交換すること、
交易の意に用いられる。

*雑俳-大福寿覚帳「人げんのばくろうをし
 てくてとおる」〈『日本国語大辞典』〉
 ―これに基づくもの。
【補足】
この資料では、例文に「バグロシネァガ」と
、サ変動詞としての使い方を挙げています。

「ばくろう」の語源については、「伯楽(は
くらく)」の転であること、馬や牛の交易売
買をする職業から、物と物とを交換する意に
用いられるようになったとしています。

尚、文献として、江戸時代中期の大福寿覚帳
(だいふくじゅ-おぼえちょう)をとりあげて
います。この時代には、江戸において、「ばく
ろうをして〜」と、サ変動詞として使われて
いた形跡があることが窺えます。

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語源 ↑

各地の言語資料より

東北各地の言語資料より、意味・用例などに
ついて整理しました。
*言語資料名の( )内は、著者・発行年

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青森(津軽地方)
津輕方言集(齋藤大衛・神正民, 1902年)
ばくろする
〔意味〕トリカヘル
〔解説〕
物品(シナモノ)を交換(トリカヘ)ルコト
馬ヲ交換スルモノヲ馬喰(バクロ)トイヘル
ヨリ起リタルカ
【補足】
発行年の1902年は、明治35年です。

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各地の言語資料より ↑

青森(南部地方)
第三版増補改訂 南部のことば(1992年、佐藤政五郎)
ばぐろ
〔解説〕
ばくる—交換する—人—売買の仲買人
博労・馬喰。

○馬ばぐろ
○牛ばくろ
○田地ばくろ
○ばくろ宿
でんちばくろ
〔解説〕田地博労—現在の不動産屋
※引用欄を見出し語ごとに分けました。

【補足】
「博労(ばぐろ)」とは、もともとは売買の
仲買人を指す語です。したがって、「馬」を
扱う者は「馬博労」、農地を含む土地を扱う
者は「田地博労」となるわけです。

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各地の言語資料より ↑

秋田(由利)
本荘・由利のことばっこ(本荘市教育委員会, 2004年)
ばぐろ・ばくろー〔名〕
①博労。牛馬商。
②交換。
【語源】「はくらく(伯楽)」から転じた語。

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各地の言語資料より ↑

岩手・旧盛岡藩(北部)
軽米・ふるさと言葉(軽米町教育委員会, 1987年)
バグロー
〔解説〕
牛馬の売買を業とする人 馬喰(古語)
「ばくろう(馬を売買・周旋する人。物と物
とを交換すること)」。

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各地の言語資料より ↑

山形(全般)
山形県方言辞典(山形県方言研究会, 1970年)
ばぐロ
〔意味〕交換
〔分布地点〕東置賜郡・西置賜郡・東村山郡・北村山郡

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各地の言語資料より ↑

宮城(全般)
胸ば張って仙台弁(後藤彰三, 2001年)
バグロ

<馬喰>
牛馬を売買する商人。以前は売買のバグロと
病気を治療するハグラグ<伯楽>と別れてい
た。上手な伯楽と人気のあった博覧会とを結
びつけて、うまくいった時など、「ジョウト
ウハクランカイ」などと称した。

物と物を交換することをバグルというがこの
バグロに由来する。また、教員の人事異動の
会議をバグロ会議といったりした。

東鑑
「長沼五郎正宗博労の奉行すべき旨仰せつけらる。」
【補足】
解説で、動詞「バグル」が「バグロ」に由来
するとあり、それに続く形で、教員の人事異
動の会議を「バグロ会議」と言っていたとあ
ります。

この「バグロ」とは、ある学校の教員を、別
の学校の教員と置き換える(博労する)こと
を指していたものと考えられます。

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各地の言語資料より ↑

福島・全般

福島県方言辞典(児玉卯一郎, 1935年)
バクロ【名詞】
〔意味〕交換(伯楽)
〔使用地域〕県北・県中

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各地の言語資料より ↑

編集後記

かつての日高見国である東北地方の言語を未
来へ継承していくためには、公用語化が不可
欠です。

当方の提唱する標準東北語の用法は、国語の
東北版として、東北各地の言語資料を基に、
東北の広範囲に共通の用法で構成されており
、文章語として公文書や記事などに使うこと
を想定しています。

尚且つ、東北全土の言語に対応しているため
、東北各地の言語の地域公用語化にも貢献で
きるはずです。

当方では、標準東北語を、中国における北京
官話(普通語)に相当するものと位置付けて
いますが、「方言」から公用語化への脱却こ
そが、明治以降、自らの言語を否定され、劣
等感を植え付けられた東北の力を引き出す原
動力となるはずです。

編集者:千葉光

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