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9/03/2023

んだら

東北方言の公用語化の一環として、
東北(旧・奥州)6県の言語資料を基に、
「んだら」の意味・活用などについて
整理しました。

編集者:千葉光

目次:

01. 意味
02. 仮定形
03. 各地の言語資料より
【青森】津軽 南部
【秋田】全般 県北 中部
【岩手・旧南部領】中部
【岩手・旧伊達領】内陸
【山形】全般 庄内 村山 置賜
【宮城】全般
【福島】全般 会津 浜通り(北)
04. 編集後記

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意味

んだら
〔意味〕それなら・それでは・それじゃ

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仮定形

次の言語資料では、
「んだら」を「んだ」の仮定形と
位置付けています。

津軽木造新田地方の方言(2000年、田中茂)
ンダラ
〔意味〕そうなら
〔品詞〕
 ン :副詞「そう」
 ダラ:断定助動詞「ダ」仮定形

〔その他〕
 断定助動詞「ダ」の仮定形が
「・・・ダバ」の形と
「・・・ダラ」の形があり
「ンダラ」は後者の方である。
「そうなら」の「そう」が「ン」となり、
「なら」の「な」が「ダ」と変化したもの。

〔例〕
 ンダラ、今日休マナガ。
 (それじゃ、今日休みなさい)
--- 引用ここまで ---

この資料では、
「ンダラ」の「ダラ」の箇所を、
断定助動詞「ダ」の仮定形としています。

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仮定形 ↑

各地の言語資料より

各地の言語資料より、
意味・用例などを整理しました。
 注)言語資料名の( )内は、発行年、著者名

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青森(津軽地方)
木造町方言集(2002年、成田秀秋)
んだら
〔意味〕 そんなら
〔用例〕
 ナンボ テツネバ。ンダラ オメ ヤレバ エデバ
(本当にぶきっちょだね。そんなら君がやればいいだろう)

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各地の言語資料より ↑

青森(南部地方)
南部のことば(1992年、佐藤政五郎)
んだら
〔意味〕 それなら・それでは
〔用例〕
 んだら、もいっかい、嬶と相談してみっか
 (それでは、もう一度、妻と相談してみるか)

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各地の言語資料より ↑

秋田(全般)
秋田方言(1929年、秋田県学務部学務課)
んだら
〔意味〕そんなら。
〔用例〕「 んだら、かうしてくれないか。」
〔方言採集地〕平鹿郡、雄勝郡

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各地の言語資料より ↑

秋田(県北)
読む方言辞典 秋田県 能代・山本編(1995年、工藤泰二)
んだら
〔意味〕それなら
〔用例〕
 「えが、ンダラだしてけれ」
 (いいか、それなら発車して下さい。)

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各地の言語資料より ↑

秋田(中部)
男鹿の方言集(1993年、佐藤尚太郎)
ンダラ
〔意味〕そうであるならば。
〔解説〕話の内容が変わったときに言う。

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各地の言語資料より ↑

岩手・旧南部領(中部)
藩境北上市周辺の話しことば(1993年、及川慶郎)
んた▵ら
〔意味〕それなら

んた▵らまんつ
〔意味〕それなら先ず
*資料上は、「た」の右肩に小三角形「▵」を付して鼻濁音表記

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各地の言語資料より ↑

岩手・旧伊達領(内陸)
胆澤の方言(1983年、阿部松輔・穴戸敦)
んだら
〔意味〕それでは。それなら。

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各地の言語資料より ↑

山形(全般)
山形県方言集(1933年、山形県師範学校)
んだら
〔意味〕それなら
〔用例〕んだらそれは何本だ。(それならそれは何本だ。)
〔使用地方〕庄内・最上・村山・置賜

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各地の言語資料より ↑

山形(庄内)
庄内方言辞典(1992年、佐藤雪雄)
ンダラ
〔意味〕それなら。それならば。
〔解説〕ンダバに同じ
〔調査地〕三川・鶴岡・湯野浜・温海

みかわの方言(1983年、佐藤武夫)
んだら
〔意味〕それなら

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各地の言語資料より ↑

山形(村山)
羽前村山方言(1934年、斎藤義七郎)
ンダラ
〔意味〕そんなら

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各地の言語資料より ↑

山形(置賜)
米沢方言辞典(1969年、米沢女子短期大学国語研究部 編)
んだら
〔意味〕それなら。それでは。

んだら 感動詞
〔意味〕どれ。それでは。
〔用例〕「ンダラ、どれ」「ンダラ、どんなものだ」

読む方言辞典 置賜のことば百科(2007年、菊地直)
んだら
〔意味〕それでは。それなら。
〔用例〕「んだら どんなもんだべな」

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各地の言語資料より ↑

宮城(全般)
宮城県史20 民俗Ⅱ 方言(1960年、宮城県 / 藤原勉)
んだら
〔意味〕そうだら。それなら。

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各地の言語資料より ↑

福島(全般)
福島県方言辞典(1935年、児玉卯一郎)
ンダラ
〔意味〕それなら
〔用例〕んだら君わ行くか
〔使用地域〕県北・県中・浜通
*県北・県中は、中通り北部・中部

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各地の言語資料より ↑

福島(会津)
会津方言集(1978年、菊地芳男)
んだら
〔意味〕それなら

会津只見の方言(2002年、只見町史編さん委員会)
んだら
〔意味〕その通りだったら。それなら。

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各地の言語資料より ↑

福島(浜通り北部)
高平方言集(2005年、高平方言教室)
ンダラ
〔意味〕それなら
〔用例〕ンダラ、まだ来っかんな

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各地の言語資料より ↑

編集後記

奥州/東北の言語を100年後の
その先へ継承していくためには、
東北方言の公用語化が不可欠です。

奥州語の文法は、各地の言語資料を基に、
広範囲に共通の用法で構成されています。

公用語化により、奥州/東北各地の言語を
次世代に継承できる環境を整えていければ
幸いです。

編集者:千葉光

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